湯煙三昧/恋月 ぴの
染まり
頂上には初冠雪目にも麗しく
湯煙の向こう側
白帆いっぱいに風をはらみ宝船は往く
えべっさんの左脇には何故か
鯛ならぬ、おいなりさん
湯煙三昧
男なら一度ぐらい覗いてみたいもの
でも、覗いたからって
どうってことなんか無いのに
それは男のロマン
厳然と聳え立つ非情の壁は
遠い昔の東西ベルリン
はたまたエレサレムだとしたら
今も嘆きの涙にくれているだろうけど
湯船に肩までゆったり浸かり
湯煙の向こう側
耳を澄ませば
どこを洗っているのやら
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