狼と蠍/shu
 

ドアを一枚隔てて夜と昼がありまして
月夜の晩にウサギの着ぐるみを着た狼が
こんこんこんと3回ノックした向こうは
太陽の頬が渦巻き灼熱の風が舞う砂漠で
一匹のさそりが穴の周りでクルクルと
回っているのでありました

狼の胸はさそりに刺された毒で大きく膨れ上がり
今にも張裂け破れてしまいそうでしたが
その痛みがたまらなく愛おしく狂おしく
もう一度最後の一刺しをと
再度ノックしようとしましたが
息を潜めてこちらを伺っているさそりの気配が
明かりの漏れた窓から伝わってくるので

そんなに逢いたくないのか
そんなにオレは嫌われてしまったのかと
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