浄夜??遊戯する断片 デッサン/前田ふむふむ
 
中の居間に、湧き水のように感覚をひろげる。

わたしは、幽霊を偽装して、心臓をもたない鳥になり、
こころは浮遊して、彼の岸の桟橋に足をかける。
鋭い限定をふところに隠す、永遠という欺瞞をはらって、
一瞬のやすらぎの映像を束ねた沈黙が、
わたしを、癒しつづける。
楕円形の手鏡の中をみると、
わたしにそっくりな亡霊が、無言の声で囁いている。
静寂は、生きている者の、
いのちの鼓動の暖かさを隠して、静かにもえている。
たとえ、死者が訪れたとしても、内部で激しく嘔吐した、
傷口が裂けた濁った現実と、対話しなくてはならず、
わたしに気付くことは、ないだろう。

浄夜を貫いて、耳
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