浄夜??遊戯する断片 デッサン/前田ふむふむ
地表をうめて、
みどりの主役は、もうすぐ骨を剥き出しにする。
死者を装う時代を、今年も迎えるのだ。
青く浄められて―――。
あなたが涙したとき、可憐な黒髪を強く抱いて、
共に涙した岬の、あの暑い潮騒の、高鳴る音が、
洪水のように押し寄せる。
浄められた夜が、遠い夢を走る。
四
ステンレスの流し台の蛇口を滴る水滴が、
鋭い剃刀の刃を辿って流れ落ちるような、厳粛な夜が佇む。
幾何学模様に飾られた家の床を、孤独なアゲハ蝶が蹲っている。
滑らかな静寂は、昆虫が感じ取る、
地上の恐怖を削ぎ落として、喧噪を昏睡させている。
わたしは、真夜中の
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