浄夜??遊戯する断片 デッサン/前田ふむふむ
 
妄想を逞しくして、
「白い夜霧の中から沈黙がやって来る。」
と文字をパソコンに打ったのだ。打ち終えた安堵は、一瞬の秒針の闇に隠れて、短いてんめつは、文字の背後で、尚、威嚇して、続きを打てと、命令してくる。わたしは、次の言葉が見つかるまで、いつまでも、無音の鼓動に、不満そうに、睨まれて、怯えているのだ。


       三

すずめ蜂が弱々しく飛翔して、庭のサツキに、
鮮やかな過去をよこたえる。
ふたたび飛ぶ夏は、厳かに息を止める。

寂びれた旧家で彼岸花がもえている。
かつて、夥しい訃報に熱狂した時代にも、
血の色を吐いて、もえつづけていた。

はらはらと落葉が地表
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