浄夜??遊戯する断片 デッサン/前田ふむふむ
待っている、
寒々しい夜だ。
二
思想の声を、青白い機械に閉じ込めて、
鋭い電流の味が、にぶい舌を突き刺す。浄められた夜に。
霧は、漠寂とした白いおくゆきを、たちあげながら、強い閃光を浮かべている。夜の口が、ひそかに開かれて、短いてんめつが一本置かれている。わたしは、手探りに濃厚な霧を分けて、随分と、短いてんめつの上で思考したが、視線は、霧の内縁をいつまでも、さ迷うだけだ。疲れて諦めかけると、やがて、そのときが訪れた。重い冷気を携えて、沈黙が鈴を鳴らして、幽霊の形相で、やってきたのだ。私は、おびえる頬を引き攣らせて、唾を飲んだ。震える手がキーボードの上で、妄想
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