空へ空へ。/渕崎。
まれて生まれてきたけど、僕が必要だったのかそれとも跡取りが必要だったのかはわからないね。
――ふぅん。
――お前は?
――知らないし、あんま興味もない。
――あっそ。
かりかりとリスみたいにメンズポッキーを食していく彼女の瞳は遠くにあって、何所を見ているのかよくわからなかった。
それに実際彼女はどこか現実から離れたところで生きてるような女だった(いや、生きていると言う表現からしておかしいのかもしれない)。
なんだか常に生きるのがめんどくさそうな顔をしていた気がする。
僕はというとただ親に敷かれたレールの上を無言で進んでいるだけだった。そこのレールの上には僕の意思
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