郷愁のカリンニコフ/atsuchan69
 
斑に染まる山もみじ、
濃くたちこめた秋の匂いに騒ぐ、
枯れ落ちた葉のざわめき
そして悪戯な、
木蔭を這う下(しも)風 )))

そうだ哀しみは、
雲ひとつない秋空へと昇ってゆく
どこまでも遠い空の青さに、
少し寂しく、
潤んだ瞳にを声をためて

僕が信じるのは、
哀しみなんかじゃない
ほら、頬をかすめて
爽やかな颪(おろし)が奔りぬける
轟々と落ちる、
滝の飛沫に虹を映して

いつか夢見た世界――
君がライ麦のパンを焼く永遠の住まい
死んでしまった人たちがとつぜん帰ってくる
小さな庭先で聴こえる歓びの声たち
二度と散らばらない、
数々のエ
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