ある詩/霜天
あれから一度も鳴り響かないのは
誰も、昇りたくはないからだろう
鳴らすつもりもない
いつでも、転がっている言葉を
言う必要も、ない
「ついに読まれることのなかった手紙、より一部抜粋」
結局
追いかけても追いかけても、届いてしまうものもあるのですよ
届けたくはなかったものが花びらが千切れるように、風に散るように
ああ、あの三月の花はいつものように空に道を作ったのですね
今年も、帰ってきます
空の上を空が通って、海の底で僕らが踊ります
みんなもう、溶けているのかもしれませんね
僕らは右足から沈んでいきます
人々が雨宿り、にと集まってくる部屋の隅
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