大トランポリン駅にて/角田寿星
 
丸まって 「お前のシリ サイコー」
そうだあなたは あたしのヒップラインが好きだったんだっけ
あなたは触角の先から目を突き出して にやにや
久しぶりに視線が痛い
たくさんの突起を伸ばして あたしをさわって
長い舌であたしのお腹を舐めまわして あたしはのけ反って
高熱で頭が痛いのに あ と小さく呻いてしまう 彼氏の喜ぶ声

あなたとの思い出は 別れる前に交わしたいことばは
こんなんじゃないのに
ほかにもいろいろあるはずなのに
こんなことありえないのに どうして
ぽんぽん がんがん

でもね
あなたとあたしって
同じ高さにちょっとの間しかいないじゃない
バウンドの高さ
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