視界が開ける瞬間 ??望月遊馬『海の大公園』について/岡部淳太郎
帰」と題された散文詩である。この詩は「内部がみえないのは、輝きすぎているから」といういきなり核心を突くような一行で始まる。それにつづいて、「展示室をぬけ」た後で「広場」をぬけて「帰途につく」様子が語られる。
{引用=展示室をぬけると、広場だった。そのあた
りを散策したあと、いつもの道を通って、
帰途につく。古びた通りをあるいていると
はらはらと落ち葉がおちてくる。それは際
限なくいつまでも落ちてくるのであった。
手と手のすきまをぬうように、落ち葉がす
りぬける。そして、やはりはかなく落ちて
は視界から消える。虫にくわれた穴あきの
ものも中にはある。それらの区別などなく
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