視界が開ける瞬間 ??望月遊馬『海の大公園』について/岡部淳太郎
 
あるように、「海」を見ることへの期待も語られている。だが、この詩で語り手は「公演の浮浪者」を媒介とするかのように、「寄る辺ない感情」に負けてしまっている。


朝日につつまれて、
\私
転ぶ、
美しい最後を木の枝、三本目

きつくきつく結ばれた、
ひもによる首吊りで
(美しい朝日と、太平洋
を背後に感じつつ)
終わってしまっても・・・

(浮浪者)の後ろ背に
\隠れるように、
ひもは、(はらり)落ちて、
私\
最後に
美しく転んで
終わる

(「海の大公園」部分)


 こうして見ていくと、本来意図して連作のような形で書かれたものではないに
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