最終行まで/岡部淳太郎
 

いつも自分で
(まったくの引用符なしで)
言葉をつくり出さなければならない

そうでなければ 生きていけないのだ
そうでなければ 死にきれないのだ

それから雨が降って
翌日には綺麗にあがって
僕たちは踏み切りの中で立ち止まる
線路の向こうから
声のない秋が
ゆっくりとやってきて
足下ではみどりの草が
少女の髪のように
揺らめいている


?

ある ひとつの方向に
思いが固まる
北を向けば
寒いことしか考えられず
この世に暖かい場所があることなど
忘れてしまう

風が
雨のように吹いてきて
思いは凝縮する
ひとつのぶざまな形へと 凝縮
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