生成する葡萄状の意味?中原紀生「葡萄状連詩」を読む/ななひと
これは冒頭からの引用だが、これだけにして既に複数の意味を差し挟むことが可能だ。「失われざる あるいは/既に存在し尽くした」―これはこの詩の根幹にある存在への視座だ。「存在」しつくしたものとしての「存在」。それは「眠り」ながら「歩く」―意識せざる意識の存在のありよう、に連乗する。それは「みごもっ」た「踊る女」が「眠っている」という詩句により、「妊娠」の系列と接続していく。「妊娠」はもちろん「時間」の輻輳的なありかたを指し示すだろう。
三人の少女 葡萄状の 眠り
蛇の挿入 顔のない 初潮
遠心力の 勝利
標本にされた 穴(セックス)
「眠り」はさらに「葡萄状」に増殖し
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