幽明の境/atsuchan69
 


 「永遠とは、けして苦しみではない
 今も闇の底で私の声は届いている//
 ――聴け、夜のしじまに微かにゆれる鼓動を
 燃えさかる地獄の業火でさえ
 かつて人の生きた影を消せはしない

すると崩れそうな山肌を背にひとりの詩人が叫んだ、

 「裏切りよ! そのすべての呪いよ!
 大地に染みた赤い血の呪いよ!
 おまえの流した血は、流砂に吸われて渇き、
 赤茶けた粒子を残して/ たった今、熱い風に舞う//

死の天使は、眩いばかりの知性を瞳に映し/こう云った、

 「意識こそが一個の時間であり、存在の核だと言える
 死は肉体に付随するのみであり、
 決して時
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