ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 


……たとえばマックス・エルンストは、あの有名なイジドール・デュカスの言葉をもとにして、なぜ美が「解剖台の上での、ミシンと雨傘との出会いから」生まれ得るかを、われわれに説明してくれる。事実、「その素朴な用途が、まったく決定的なものとして定められているように見える或る既成の実在(雨傘)が、これとはひどくかけ離れていて、それに劣らず不条理なもう一つの実在(ミシン)といっしょに、その両者がまったく場違いだと思われるような一つの場所(解剖台の上)に突如として並べ置かれた場合、これらの実在は、そのように配置されたという事実によって、それ自身の素朴な用途もその本性も失ってしまい、ひとまず相対的なものになり
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(8)