ヒューム「ベルグソンの芸術論」(1)/藤原 実
 


けれどもベルクソンは私たちの通常の経験世界は、心のなかの感情とはひどくちぐはぐな「観念を動かすだけにとどまる」「不変のイメージ」によって動かされているのだと言います。

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私たちの日々の行動をまさに導いているのは、絶えず動いている感情そのものよりも、それらの感情が付着する不変のイメージだということである。朝、いつも起きることになっている時刻に時が打たれると、私はその印象を、プラトンの表現を借りて言えば、〈心の全体と一緒に〉、受け取るかもしれない[『国家』第七巻]。その印象が私の心を占めている諸印象の混然たる塊りの中に溶け入るままにしておくこともあるだろう。おそらくこの場合には
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