天体寓話/恭二
 
遠い遠い昔の話。

未だ、人類は勿論、動物たちもこの地球上に存在しなかった頃。

太陽と月は、一緒に空に浮かんでいた。

二つ並んで、東から昇り、

二つ並んで、西に沈んだ。

二つの天体は、同じ物質から構成され、

かつ、性質は異なってはいたが、もともと密着して存在していたのだ。


或日、月は太陽に言った。

「私は、あなたと一緒にいないと、輝けない。

 でも、ずっと一緒にいると、

 やがて溶けて無くなってしまいそうな気がする。」


太陽は胸が苦しくなるのを感じた。

万物を照らし輝かせる太陽。

同時に、万物を退色させ、灼き消す性
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