最終レレレのレッ!(付、遠州方言)/佐々宝砂
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「ら抜き」について考えたとき、私の頭に浮かんだのは「ら抜き」の反対側にあるもの、すなわち文語体のことだった。文語は口語より文法がややこしい。しかしできあがった文章は口語より簡潔になる。単純に終止形にしてみればことは明白。当たり前の話だが「食べる」より「食ぶ」の方が一文字短い。文語体で書かれた文章が濃縮された雰囲気を持つ一方、口語の文章はのんべんだらりと間延びする。「れ足す」や未来言語ラツキ(笑)は、さらに間延びする。詩の世界、ことに俳句や短歌の世界が文語を残してきたのは、文語が短い濃縮表現を可能とするからだろう。情報があふれかえっている今、文語の簡潔さを好ましく思う。
「ら抜き」は
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