「 きいろいし、み。 」/PULL.
 

なのでわたしも滞りなく、
いつもの家族の営みを続けた。

滞りのない、
いつもの家族の営みには、
父と父の白い肌だけがなかった。




五。


父の白い肌に触れられないのが、
ひどく寂しくて、
毎晩壁の前で泣いた。

壁はただ白く、
押し黙ったまま、
何も答えてはくれなかった。




六。


ああ、
どこまでもなめらかで、
父のように白いわたしの壁。
あそこに頬を寄せ、
父にしたように頬ずりをしたい。




七。


わたしはいつまで、
この欲望を抑えられるのだろうか。




八。



[次のページ]
戻る   Point(11)