批評『ドラえもん』たもつ〜マリオネットたち〜/CU
 


現在の世界情勢の中、アメリカは悪者として扱われ、多く非難されるところである。しかし、それは問題の一側面でしかない。アメリカのやり方に賛成はしないが、そのような非難は正当な評価ではないとあえて付言しよう。『<帝国>』でアントニオ・ネグリがいうように、今日抜き差しならない国際情勢を何とかしなければならないと考えていないものは一人もいない。「あらゆるものが向かおうとしている価値は、平和、均衡、そして紛争の停止」である。しかしながら、また逆に、矛を収めればそれが得られるとは、誰も考えていない。

哲学において、神が失われ、人間も失われた結果、権力の絶え間なき闘争のみ残ることが暴露されたためだ
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