双子の花火/あおば
 
、文藝春秋が転がっていて、家族みんなで暇つぶしに読んでいたが、
なにも小言を言わなかった、いつも機嫌の良くない父の顔を思い出す。
鬼のような顔とは、あの顔を言うのであろう、お陰で怒った顔の人には馴れて慌てなくなった。
怒るとは、自分だけの世界を爆発させて、なにかを楽しんでいるのではないかと疑っている。
怒ることで自分に戻り自分を取り戻し、落ち着いて生きていける。そんな生き方を身につけたのだ、鬼になって。

花火の日が近づくと、みんな落ち着きが無くなる。
雨だと中止になる。
風でも中止になる。
中止になると、来年まで延期だ。
双子の赤ちゃんを連れた人も、来年は復職して忙しくなり、
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