双子の花火/あおば
 
り、夜の花火を眺めるために、国境の辺境の河原に、やってくる時間もとれなくなり、テレビ中継の、スターマインを眺めて、ほら花火よ、おとうさんといつか見に行きましょうねと、語りかける日々を過ごすことになる。
そんなことも知らないで、ビールを飲み過ぎて、落ち着きを無くしたどこかの小父さんは、足を踏み外し河の中に落ちて、全身濡れ鼠になって、みんなの物笑いになって、河原乞食の末裔だとばれたのも知らないで、着替えた後で懲りずに酒を飲みながら、僕に向かっていくつもの先祖自慢をしてくれて、鍵屋の末裔だと法螺吹いた。



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