晩夏への手紙/モーヌ。
祝祭に、火吹いた。
彼女が、携帯に、送ってくれた、ぼくらの、坊やのムービーが、手元に。...
きみの魂の影を、裏ごしした、フィルムは、リール音を、あげながら、雪崩れて、いった。
太陽が、あります。この夏だけの風が、あります。花屋の軒先で、入院前、求めようとした、なでしこの清潔が、あります。脱ぎたての、蝉の抜け殻の、早朝のひかりが、直立します。きみのまあるく、ピンクの指は、真っ赤に燃える夕雲を、散らします。十二小節の短いソロを、匂ってゆきます。カデンツァを、抱えてゆきます。とどめるための、強奏主和音が、天界を、強くは響かないフォルテで、天の頂に、なで溶け入って、澄み渡り、
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