晩夏への手紙/モーヌ。
 
小さな町町が、開襟シャツの、夏襟に映り、とおくを揺れる、白いボールを、スローに、ゆっくりと、投げかける。ぼんやりと、虚力で見つめて、飽きずに、その、アダジオのなかで、繭を、織った。
船運が盛高し、そんな、白く水脈を、眉のように曳いて、のぼりくだりする、船舶たち、かもめたち、入道雲とランデヴする、航空機たち。そのうえに、かれらの機動の、優美な清らかを、くちづけで、楷書して、捺す。...





椅子に腰掛けて、窓のまえで、読んでいた、ぼくの手元の、古い本から、活字が、飛翔する。





” 海の光景はどうしてあんなにも限りなく、あんなにも永遠にこころよいのか?

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