「 漬けられた夜。 」/PULL.
 
を上げ、
テレビに体当たりした。

肉の感触の後、
わたしは弾き飛ばされ、
画面も弾けるように消えた。




十。


真っ暗闇の中。
部屋と壁が肉になり、
ずぬりずぬりと震えて笑っている。

それは嗤っているようでもあり、
泣き笑っているようでもあった。

ずぬりずぬり。
ずぬりずぬり。

笑いは徐々に弱まり、
やがて消え、
壁は壁に戻った。

引きちぎられたコンセントのコードが、
線香花火のように火花を散らし、
テレビを懐かしんでいた。




十一。


月が出ていた。

窓から差し込む月の光が、
部屋の中を薄
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