「 漬けられた夜。 」/
PULL.
を薄く照らす。
瓶が仄かに蒼く、
灯っていた。
十二。
瓶を開ける。
蒼く灯る液体が、
どろりと揺れている。
指で掬うと、
糸を引いて垂れた。
口に含む。
甘酸っぱい。
口内に広がる。
どこか懐かしい味。
瓶を頭上に掲げる。
頭から被った。
三年間漬けられたそれは、
ひんやりと冴えていた。
十三。
魔天楼を突き破り、
夜に飛び出す。
わたしは糸を引き、
夜に消えた。
了。
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