文学史的演説/ダーザイン
えて多元宇宙のあらゆる可能性が混融して行くのだが、観測者である詩人の立ち位置はリアルワールドとワイヤードの境界がずぶずぶと崩れて行く非常に不安定な場所にある。二十世紀大世紀末からネットに流れている「ワイヤードには神様がいる」という風聞を知っているか? 玲音(lain)。桜色のワンピースを着て微笑む少女が、携帯の液晶に、街の電光掲示板に、リゾームのように連なるネットの地下掲示板群のあちらこちらに、常に視界の隅に偏在しているのだという。文学者の脳は電脳空間ワイヤードに接続されることによってその実存的単独性を超越し、新世紀の存在論を探求する電脳生理システムとしてワイヤードに再組織化されるのだろうか。地球
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