天国への調べ/ajisai
 

死神は男の手を取りそっと魂を引き出した
そして男に竪琴を手渡す
「ありがとう
 これで僕は何処に行っても寂しくないよ
 さあ、何処にでも連いてゆくよ」
男は微笑んで竪琴を大事そうに受け取った
死神は男の手を取ると地下道をするりと抜け
月明かりの眩しい空を飛んだ
「君の瞳の光は月明かりの様に
 柔らかく優しいね、一曲何かできそうだ
 ちょっと待ってもらえないか
 竪琴のお礼に一曲歌わせて欲しい」
男は死神にそう言うと竪琴を爪弾き始めた


 夜の闇を優しく照らす月の明かり
 死の使いは月明かりの優しさと共に現れる
 黒い姿の中に純粋な月色の瞳が輝く
 死神の瞳
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