天国への調べ/ajisai
 
の竪琴を持っていくことはできないかな
 僕にとっては半身のようなものなんだ」
死神は薄く微笑んで答えた
「ええ、それくらいのことでしたら。
 あなたの為に霊界に
 持っていけるようにしましょう」
死神は背中から黒い羽を一枚抜き取ると
その羽で優しく竪琴を撫でた
黒い羽が竪琴に溶け込む淡い蒼い光が広がり
竪琴は淡く透き通った霊体へと変わった
「これで一緒に持っていけますよ」
死神は月色の瞳で優しく男を見つめる
「ありがとう、これで心置きなく眠りにつ」
語尾は声が細くなって声にならなかった
男は力尽き、永遠の眠りについたのだ
清らかな満足そうな笑顔の死に顔だった


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