天国への調べ/ajisai
てしまい
死神は月色の瞳からぽろぽろと涙を零した
「僕はあなたを迎えにきたんです
でもあなたを連れて行くのがすごく辛い」
俯き加減になって涙声で
死神はやっとの思いでそう言葉を搾り出した
男はにっこりと眩しい笑みで答えた
「歌を褒めてくれてありがとう。
死ぬことは怖いけど誰にでも訪れることで
僕にとっては今がそうなんだろう
僕は今まで生きてきたことを幸せだと
思っているし、思い残すこともないよ
でも一つだけお願いがあるんだ
よかったら聞いてもらえないだろうか」
死神は涙を拭って頷いた。
「僕は天国に行くのか
地獄に行くのか分からないけれど
この竪
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(2)