骨まで見たいと骨しか見たくないのあいだ/カンチェルスキス
 
けど、骨が見えなかった?頭蓋骨とか肋骨とか」
「気のせいよ」
 話を振ったほうのあの女子高生は明日から虚言癖の女と呼ばれるのか、とおれは思った。


 おれにとってはあのときのやりとりの「確かにね」って言葉が心強かった。
 態度には出ないけど自分に対し異常なほど心細さを感じてる人間にはそういう言葉はかなり嬉しいもんだ。もう倒れなくてもいいんだって言うか、骨折者の松葉杖&ギプスって言うのか、朝のコーヒーを無条件で楽しめるって言うか、そんなふうに思えてくる。


 門の前でほうきを掃いてる手を止めて、婆あが垂れ下がってる電線を利用しておれに投げてきた。先っぽは輪っかになってて
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