脳がレタスになって。/カンチェルスキス
 
けられる黒が勝利のオセロ。
 指先が踊る、ぞんざいにされたマリネの酢の成分、勝手におれは一人行き詰まり、そして、それはぜんぜんたいしたことではない。しぼんだ風船をふくらました女の残った唾液を吸ってるおれ、フェンス越しにおれは錆びている、よじのぼって威嚇する犬の腹に入り込んで、白昼に爆発する、細胞のような記憶が、端から端へ飛び散る。おれはどこにいるのか。廃業の遊園地に突っ立っている、使えない外国通貨を握り締めて、使えない心臓と、鍵を中に忘れた車のそばで。こういうことができる、できない、炭酸からスウェードで行き渡る、蓄膿症、図書館の受付の司書と心中する。ずれる、頭の中のきちがいエンブレムの一部が、こ
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