脳がレタスになって。/カンチェルスキス
、こうやってまっすぐ鏡を見ていると、鏡はいらない。空気の薄くなる肺機能、出口からはじめて入口まで辿り着けない。水中にはほんとうがある。水の中の睡眠。睡眠から覚めて、痺れる。一方的に痺れる。時計の長短針がからまって、洗濯機の給水ボタンが作動する。酸欠状態に陥りそうな交差点の上で、車のサイドブレーキにからまった性欲を見つめる。これはいつになっても、赤信号の後退と並列の配線事項、首の真ん中に穴が開いて、そこから向こうへ、拳を突き出し、空をつかんだり離したりして、宝石箱のベッドルームで痰がからんで即死する、大丈夫、即死だから、雨が降り続けて、もう二度と晴れないことがわかってしまったから、テキーラを泳ぐ、孤児院の遊戯を続ける。
固結びの電気コードの中を歩く、絵空事と知りながら、おれを撲滅させる鬱血を、やぶれたビニールから頭部だけ、おれの飛び出る、乾燥、完璧な乾燥だ。腰にぶらさげた戦争をちらつかせて、崩れた塔の瓦礫の上を歩く。歩く。煙の中を。右手が左手になって、鼻が頭になって、心臓が目になって、脳がレタスになって。
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