落陽/結城 森士
 

班をまとめる辛さを、安住さんにだけはずっと打ち明けていた。辛い時は愚痴をこぼし、上手くいかない時は相談に乗ってもらった。毎晩の様に夜にメールで班の今後のことを相談していた時期もあったし、休みの日には会って話したりもした。今思えば僕は完全に安住さんを頼りにし甘えきっていたように思う。しかしその度に安住さんは嫌な顔もせず親身に話を聞いてくれた。そして首を傾げて少し困った風に笑っているだけで、他には一切なにも言わなかった。彼女だけが唯一信頼できる班員だと信じていた。


その安住さんから前触れも無く恐ろしいメールが来たのは入院を知らされる前日の八月十日だった。
「私死ぬかも」
「もう疲れた」
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