星幸一論/狸亭
 
ーなこの男。
吉永小百合に似たカミさんとの間に健康な二人の男の子。
就職もして独り立ち。今更なんの不足があるものか。

初めて星に会ったのは共同宿舎の食堂だったか
フィリッピンの発電所建設現場は修羅場の真っ最中
土木工事の遅れで星は槍玉に揚げられまさに渦中。

「東京から隠密が来た」
「お前はバカだ」と応酬した。
「隠密が来たと思っても口に出してはいけない。

 知っていながら知らぬ顔をしていなければならない。
 そいつを味方につけてしまうくらいの度量がなくて
 どうして仕事が上手く行くものか」 やがて

インドはウッタールプラデッシュ州アンパラB
石炭火力発電所
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