コミック雑誌/光冨郁也
明な少年のわたし。休み時間になると、楽しそうな仲間たちの声が聞こえてくる。振り返ると、部屋の中央にベッドの父。明るい日差しの中で、わたしと母は、ずっと鼻ばかりかんでいる。ベッドの上の父を見下ろし、髪をなでつづけた。父はいつもと違い、微笑んではくれなかった。
医師の臨終を告げる声は、聞こえない。ただ空気でそれとわかる。めまいとともに、わたしの体は、宙にひきこまれそうになり、見えない渦にもまれた。
「どうしたの、ボク。さっきまで元気だったのに」
看護婦の声に、わたしの体は沈む。
「お父さんの体をいっしょにきれいにするかい」とだれかに聞かれ、わたしは首をふり、病室の外にでた。待ち合いの長椅子
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