タイミリックマシーン/ロカニクス
 
タイミリックマシーンは出来損ない
どこにだって飛べやしない
過去も未来も遠い夢の話
目の前には常に現在
五分後の世界と信じそうになったものは
トースターの故障により
一瞬で備長炭に化けた情けない食パンだった
以来タイミリックマシーンは誰も信じない
実の親かもしれない同居人の博士でさえも

彼はタイムマシーンを怖れていた
どうしようもなく憧れていた
その憧憬はいつか滅びた古代の蝶が
ひらりひらりと現在発明中の全自動生活機に舞い降りるような
迷い込むようなおかしさと同じだった
彼はそれを知らないのに

オンボロ博士は持つ写真までもオンボロだった
大切に扱っても黄色に
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