『朱瞳』/
しろいぬ
――届くわけがない
鉄の茨を掴んだ
僕の手は 朱に染まる
苦しそうに鳴く君を
僕の手で 救い出す
そしてまた手を伸ばす
君はもう ずいぶん冷たい
君はもう ずいぶん朱い
僕は君に何もしてあげられない
君と一緒に血を流すことのほかに
なにも 出来ない
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