階段昇りトレーニングマシーン/神樹
 
を繰り返し、両足は一歩ごとにペダルをぐっと踏みつける。
ここまで来ると、思考はこのうえなく高尚なものになる。
水が沸騰する直前に鍋の底から泡がわき上がるように、新たな洞察がどこからともなく現れる。

九十階あたりにさしかかる頃、浮かぶ考えは全てが天啓だ。

既存のパラダイムのあちこちに穴があく。
平凡なもの全てが万能のメタファーになる。
万物の奥に潜む意味が不意に明らかになる。
何もかもがやけに意味ありげだ。
全てがやけに意味深だ。
あまりにも真実だ。

百階あたりにさしかかる頃、テレビで、いや欲を言えば衛星生中継で全世界の視聴者に自分の姿を見てもらえないのなら、存在しな
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