そして幾つもの夜が過ぎ/atsuchan69
のある、
黒い荒布をまとった女
――ひとりの魔術師を買い、
側近の一人として傍においた
彼女は賢く、
音楽という愉しみ
料理、ふたつの魂がひとつになる法
そして何よりも、
「愛」というまじないを教えてくれた
いつしか私は千の部族を率いていた
//そして幾つもの 夜が過ぎ
谷底に花束を落とし、
弔う私の傍らに魔術師もいた
村へもどると、
すでに使いの者たちが
貢物を運び入れ
めずらしい衣服や食べ物の匂い
寄ってたかる者たち
その奥に母がいた――
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