「国」と「生きる」と/逢坂桜
 
いう時間をかけて、美しい美林に育てた山々を、
国が当たり前に相続税として差し出せ、という。

「お国」への憎しみ・・・・・・この期になって初めて湧いた感情であった。

国はそれに値する何をした?

戦後生れの両親を持つ私にも、その理不尽な怒りは、共感を覚える。
だが、しかし。
国とはなにか?
それを考えると、空恐ろしくなるのも、事実である。

かつて、満州国という国があった。
大日本帝国が、現在の中華人民共和国の東北部に、建設した国。
満州国には、行政も警察も、司法機関もあった。
だが、敗戦と同時に、機能しなくなった。
あらゆる場所で、あらゆることが行われた。

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