蝶/AKiHiCo
黒い羽根を持つ蝶を捕まえた
指先に鱗粉で黒い粒できらきら
細い脚で必死で逃げようともがく姿
生きようとしている命を奪う権利は僕にはない
傍にあった釘で羽根を樹に打ち付けた
あまり暴れると落下してしまうのにばたばた
間もなくして蝶は地面に落ちた
だから言ったのに
破れた羽根では空中を舞う事は出来ずに
邪魔でしかなくなった羽根で
バランスを上手に取れず横たわる
まだ脚をじたばたさせて
逃げられると思っているのだろうか
その細い脚でどこまで歩けると
優雅に蒼穹を舞う蝶は
自分が一番美しいのだと勘違いをして
僕の前を何度も通過しては
近くの葉で羽根を休めて
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