親父/虹村 凌
 
そう思う。正しかったんだ。

絡み酒とか心が狭いとかせっかちとか、まぁ色々と欠点あるけどな。
親父の言う事はいちいち最もで、正しくて、反論出来ないんだよ。
まぁ反論する事は許されなかったんだが。
親父の言う事は正しくて、全てだった。

力で抑えつけられて、反論も反撃も出来なかった。
全てに駄目出しされて来た。
俺は馬鹿でチョンでクソでカスな奴だって言われて来た。
打ち込めると思った演劇だって、小さい頃から
「端役が似合う」って言われ続けて来た。
俺は何が出来たのだろう。何が出来るのだろう。
親父は俺の将来を心配していたのだろうけれど、
俺の夢は小学生の時に潰された。

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