儚い部屋、言葉の部屋/霜天
どれだけの言葉を飲み込んで
君は生まれていくのだろう
統制のとれた四角い部屋に
白い壁、のような服
悲観的な視線たちが
埋め尽くしてしまいがちな世の中に
「ほら、窓の外はこんなに明るいよ」
と、人の夢に似たものは、青い空へ近づくために
命づく、夏草の果てへと
いつか、蓄えられた空が零れる前に
言葉は君になって
この部屋を、出て行く
どれだけの言葉を吐き出して
君は崩れていくのだろう
その足跡は、小さな海になり
泳げない、と誰かが漏らした
薄紅を軽く指に乗せ
誰かの頬に触れたとき
伝わることは多すぎて
残された言葉はかたちになれない
「今は空が
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