儚い部屋、言葉の部屋/
霜天
空がプールになる時代だから」
とか、傾き始めた陽射しの部屋に
このままどこかへ行ってしまおうか
笑いかけた横顔を、そっと押し返してくれたのは
その距離を知っているから、だろうか
乾いた夕暮れに夏の影は揺れた
君はすっかり言葉になって
まだ、遠くへと行くことが出来る
*
今も、どこへも行けない僕らが
言葉の着地する場所を夢見て
残された隙間を沿うように
低空飛行する夏は
いつも誰かの影を見ている
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