水族館/七生
今度はゆっくりと進む、いっぽ、にほ、さんぽ、じゅうななほ歩いたところで自動販売機の前に着いた。
小銭を一枚ずつ入れる。銀色のものと銅色のものを
迷うことなくペットボトルに入った水を選ぶ。ゴトリと鈍い音がして水族館が落ちてきた。
小さな水族館。
キャップをひねる、どうも硬くて一度では開かない。
もう一度力をこめてひねる・・・ざっっと手の中で滑ってそのままキャップだけを残してペットボトルが落ちていった。
スローモーションのようにゆっくりと
透明な液体を撒き散らしながらミュールの上へ
水が零れ落ちていく。
水族館が閉館になってしまう
水はほんの少し残して殆どこぼれ落ちてし
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