水族館/
七生
てしまった。
気が付けば青いミュールもぐっしょりとぬれていた。
鱗がきらきらときらめいている
・・・・・・・
私はミュールを脱ぐとペットボトルへぐいぐいと押込んだ。
水族館、私にも見えた。
周りに鱗がパラパラとこぼれおち、いっそ生臭い世の中になった。遠くから黒いワンピースの女が哂っている。
黒いアスファルトがさらに黒味を増して、影を覆う。じわりじわりと
遠くから聞こえるせみの音は壁となって私を閉じ込める。
剥いだ鱗を口元に運ぶ。ああ、意外に甘い。
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