水族館/七生
ている。
感触も色もにおいも全く違うけれど、アスファルトはハンバーグと少しだけ類似点があるのだ。
少なくともわたしにはある。あのぼこぼことした表面、少し似ている。
その日は買ったばかりの傷ひとつ無い青いミュールを履いていて、足元にだけ少し魔法がかかっているような気分だった。
新しいものを身に着けるとほんの少しだけ魔法がかかる。
でもそれと同時にはやくミュールに傷が付けば良いのにと思う。そうしたらアンティークにほんの少し近づけるから。
だってアンティークにも魔法があるから、でもたいていのものはそうなる前に捨てられてしまうのだけれど。
それにこのミュールがアンティークに成るとしてもその頃
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)