「 ひとくちの月。ふたくちの夜。 」/PULL.
 

我々を蝕み、
大脳を退化させている。
これは由々しき問題である。
そう想わないかね。

若い月では、
なんといっても、
三日月と上弦の月が、
最上であると思われる。
どちらも甲乙つけがたいが、
三日月は癖のない清涼な食感、
上弦の月はもっちりとした歯応えと、
それぞれに異なる特徴がある。
何れも絶品の味わいである。

十六夜月を過ぎると、
食べ頃を見分けるのが、
少々難しくなる。

立待月は酒には合うが、
ただそれだけだ。
他に何の楽しみ様もない。
期待するだけ腹が立つ。

居待月は居間に座り、
友と酒を酌み交わして、
旧交を温めるのを勧める
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